環境建設委員会行政視察結果報告書
更新日:2011年2月15日
1. 実施日
平成19年10月31日(水曜)から11月1日(木曜)
2. 視察地
(1)北海道 中空知衛生施設組合
(2) 北海道 滝川市
3. 目的
(1)中空知衛生施設組合 「リサイクリーン」による広域ゴミ処理について
(2) 滝川市 有料袋によるゴミ回収の成果について
4. 出席者
奥谷浩一委員長 清沢謙治副委員長
鈴木忠文、 加藤正俊、 伊藤真一 各委員
(欠席・・・朝木直子委員)
随行職員 神山正樹議会事務局次長補佐
5. 視察結果報告
(1)中空知衛生施設組合
【中空知衛生施設組合の概要】
所在地 北海道滝川市東滝川760-1
敷地面積 約30,000平方メートル
工 期 平成14年3月から平成15年9月
総事業費 3,299百万円
施設概要 メタン発酵施設 (受け入れごみ 生ごみ。処理能力 55t/日)
リサイクルプラザ(受け入れごみ 資源、粗大、不燃、その他
可燃ごみ)
処理能力 資源選別 18トン/日
粗大等破砕12トン/日
中継施設 (資源選別 58トン/日)
ごみを資源として再利用するとともに、エネルギーを有効利用し、埋め立て量やダイオキシン類の発生をできるだけ押さえるという循環型社会の理念にふさわしい施設である。
【視察の目的】
わが東村山市でもごみ焼却施設である秋水園の建替え、補修問題がある。生ごみのメタン発酵施設で最先端の施設といわれる中空知衛生施設組合を視察すること。
【考察】
ア メタン発酵施設に関して
特徴は、生ごみを発酵させバイオガス発電をする点にあった。施設はかなり大きなもので、地上2階地下1階(5,300平方メートル)である。大きな発酵層(700平方メートル)が3つあった。デュアル発電機(80キロワット)が5つ、ガスホルダー(1,000平方メートル)脱臭設備(生物+薬剤+活性炭)もあった。排水処理設備は130平方メートル/日とのことであった。
日に55t処理が可能なのに今は、27tしか処理をしていないとのこと。ごみ袋を有料にしたところ生ごみの量が減ってしまい、そのため最大出力400キロワット(800から1,000世帯)の電力を発電できるのに、発電機は、日中3台、夜1台動かすだけだそうだ。そのため電気は機械と室内に使うだけしか発電できないそうだ。北海道電力への売電は、年1万円程とのこと。
発酵施設のため、養鶏場と同じ臭いがしていた。東村山市でつくるとしたら臭い対策をしなければならい。生ごみをビニール袋に入れたまま粉砕し後でビニールは回収して可燃物として処理していた。始めに分類するよりこの方が手間もかからず、経費も安いのかもしれない。
汚泥は堆肥化していた。肥料は堆肥として売却を予定していたが。民間との兼ね合いもあり、なかなか売却も出来ず、今は。年300tほど近所の農家(菜種栽培をしている)の融雪剤として使ってもらっているとのことである。
この施設を見て大変魅力的に感じた。しかし東村山市で、もしつくるとしたら、発酵タンク滞留日数20日間がもう少し短くならないと人口14万8,000人の生ごみは処理できないと思った。(ちなみに中空知は近隣5市で9万人の人口である。)
(注 平成19年11月2日の日本経済新聞 京都大学が生ごみの処理コストを10分の1にする技術を開発したと報じている。微生物が生ごみを水と二酸化炭素に分解する技術である。1から2年後実用化するそうである。大いに期待したい。)
イ リサイクルプラザ
資源ごみ(ビン、カン、ペットボトル、古紙)は、手選別や機械選別で分別後、それぞれ圧縮し資源化業者に引き渡している。北海道はなにしろ広いので、施設もゆったりと場所をとって作業のしやすいようになっていた。
ウ 中継施設
可燃ごみをごみ圧縮機でコンテナに積み込み、エコバレー歌志内(焼却施設)へ搬送している。
【視察をして】 今回始めて視察をした。本を読めば分かると思っていたが、やはり「百聞は一見にしかず。」である。こういう視察はごみの専門家と一緒にすべきと思った。
リサイクリーンでの施設見学
(2)滝川市
【滝川市の概要】
人口 44,831人
20,968世帯 (平成19年4月1日 現在)
面積 115.82平方キロメートル
地勢 北海道のほぼ中央部、石狩川と空知川の合流点にあり、札幌と旭川を結ぶ空知の中心部に位置している。土地は概ね平坦で、河岸段丘の平らな台地が
東部の山岳部へ続いている。気候は内陸性気候で、年間を通し南西の風が多く、気温は4月から10月までが平均14℃、11月から3月までが平均 -5℃、湿度は年平均79%で、夏はすごしやすい。雪は11月末ごろから降り始め、4月の初頭まで続く。最深積雪は110センチメートル前後である。
施策等 石狩川の河川敷には国内屈指のグライダー基地がある。また市の北部、丸加高原には体験型宿泊施設やオートキャンプ場、西部には市民の憩いの場である温泉施設やカヌー場、市民ゴルフ場があり、市内外から多くの訪問者がある。
市では「子育て支援」「中心市街地活性化」「生涯現役社会」「安心安全な街づくり」「資源循環対策」を重点施策に、市民・企業・行政が一体となり協働の街づくりを推進中である。
【視察内容】
◎滝川市のゴミ処理の近年の主な歴史
昭和37年 人頭等による基本料金制と、塵芥処理券制度(従量制)を導入
昭和43年 家庭系料金を無料化 (ゴミ量、3倍に)
昭和46年 事業系ゴミ処理手数料を制定
昭和58年 可燃、不燃、生ゴミの3分別回収開始(指定生ゴミ袋4円)
昭和60年 清掃センター(焼却施設)の稼動開始
昭和61年 定額制家庭系ゴミ処理手数料の徴収開始(2から4人世帯月額410円)
平成10年 ゴミ処理広域化検討協議会を設立 (6市10町)
平成13年 ダイオキシン問題を契機に、清掃センターが操業停止
平成15年 広域ゴミ処理施設「リサイクリーン」の供用開始
あわせて、「5分別7種類」の生ゴミ、資源ゴミの収集開始
ゴミ処理料金を定額制から「従量制」に
◎平成15年からの「5分別7種類の生ゴミ、資源ゴミの収集」による成果
<滝川市のゴミ処理経費負担に対する考え方 (データは平成15年当時のもの)>
大量生産・大量消費・大量廃棄による処分方法のゆきづまりや、自然環境への影響を防止するために、コストをかけても循環型のゴミ処理を導入して、ゴミの発生抑制・減量、資源のリサイクル、適正な処分を推進していくべきである。
循環型社会形成(いわゆるリサイクル)のゴミ処理には、総額8億5千万円の費用がかかる。昭和61年から続けてきた「定額制」の下で、今までのゴミ処理には総額約4億2千万円の費用がかかり、その約17%を市民が料金負担してきたが、新たなゴミ処理のコンセプトの下では、従来の負担額の2倍強の費用負担となっている。市民の理解と協力を得ながら、あくまで循環型社会形成の推進に、広域で取り組む同市のゴミ処理行政への意気込みがうかがえる。
ごみ処理手数料 →
ゴミ収集スケジュール →
⇒ 滝川市(市街地地区)と東村山市とに大きな差は無い。
(容器包装プラスチックの分別収集は今後検討の予定)
◎ 現在の資源循環型の収集体制への移行時の問題
平成14年 市民への説明会 町内会 392回
事業所等46回
リサイクル推進委員の任命 1名 / 50世帯
◎ 効果
A.年間収集ゴミ総量
平成14年 27,433t
15年 17,384 t ( 36.6%減 )
B.再資源化率
平成14年 7.9%
15年 18.5% ( 10.6%増 )
C.集団収集団体による資源ゴミ回収
現在 171団体
資源ゴミ回収量 平成18年度2,328t (資源ゴミ全体の13%)
⇒ 奨励金 年470万円を交付 (2円/kg)
【考察】
1. 循環型社会のゴミ処理のモデルケース
ゴミ全体の3割以上の削減に成功、また市民の協力意識を高め、資源ゴミのリサイクルを倍増させたことは、今後のゴミ処理のあり方として、高く評価できる。
2. 費用対効果から見た資源リサイクルへの費用負担
確かに、資源回収による環境保護への成果は目を見張るものがあるが、公費負担も含めた市民の費用負担は旧来の倍近くとなり、東村山市と比較して負担の大きい滝川市民の本音が気にかかる。
3. 広大な面積を誇る滝川市の成功事例を、そのまま多摩地域に当てはめえるかは議論
のあるところだが、
(1)周辺市町と協力し広域で効率的な処理を行っていること
(2)市民の協働により資源リサイクルの成果をあげていること
(3)ゴミ全体の総量の圧縮に大きな効果をあげていること
は、今後の当市の環境行政を考える上で、参考となる貴重な成功事例であることは疑いないと考える。
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