厚生委員会行政視察結果報告書
更新日:2013年7月19日
1.実施日
平成20年11月21日(火曜)から11月22日(水曜)
2.視察地
3、視察項目
- 高槻市立子育て総合支援センター「カンガルーの森」施設概要
- 「箕面市障害者雇用支援センター」施設概要及び障害者の就労・雇用支援事業の概要
4、出席者
福田かづこ委員長、島崎よう子副委員長、大塚恵美子、山口みよ、北久保眞道、石橋光明各委員
随行職員;南部和彦議会事務局次長補佐
5、視察結果報告
高槻市立子育て総合支援センター「カンガルーの森」
【高槻市の概要】
高槻市は、京都市と大阪市のほぼ中間に当たり、大阪府の北東部に位置している。北は北摂山地に連なる山並みと丘陵、南は淀川に面し、東は島本町に、西は安威川及び平地をもって茨木市に接している。
市街地を南北に二分してJR東海道本線と阪急電鉄京都線が平行して走り、一方、北部丘陵地を名神高速道路が、中心地南部を東海道新幹線が東西に横断する。また、市の中心部を芥川、東部に松尾川が流れ、それぞれ淀川に注いでいる。
人口: 359,014人(平成20年3月末現在)
世帯数: 151,033世帯
面積: 105.31k平方メートル
市制施行: 昭和18年(1943年)1月1日
中核市移行: 平成15年(2003年)4月1日
【視察の目的】
高槻市の子育て支援センターは大学と一緒に運営している。東村山市の子育て支援センターが市役所、大学、NPO法人の三者で運営しているため、高槻市からこの点を中心に学び、東村山市の子育て支援センターに生かすための視察である。
【視察概要】
(1)高槻市子育て総合支援センター「カンガルーの森」概要
オープン 平成19年4月
敷地面積 1628.68平方メートル
建物規模 鉄筋コンクリート造3階建
述べ床面積 2150.16平方メートル
建築面積 796.18平方メートル
センターの機能
- 研修・研究機能
- 情報発信機能
- 交流機能
- 相談機能
対象 0歳児から18歳まで
(2)事業内容
研修・研究機能
- 子育て支援、就学前教育と保育等についての研究
- 子育てに関係する機能の研修と学習
- 市内の大学等との連携と協力の推進
情報発信機能
- 子育てに関する情報をホームページや情報誌で発信
- 市民が自由に常設パソコンで情報が検索できるコーナーの設置
- 情報交換コーナー設置
交流機能
- 子どもたちが自由にのびのびと遊ぶ場の設置
- 親同士の交流と学習
- 子育てサークル・子育てボランティアの育成と支援
相談機能
- 児童家庭相談(児童虐待に関する相談含む)
- 子育て相談機関との連携
研修・研究に対しては2階の2つの学習室と2つの研修室を備え講演会や親子で学べる講座などが開催されている。その他に保育室を設けてあり、講座等の時の託児室として利用される。クッキングコーナーでは、離乳食やおやつの調理実習が行われる。材料費は800円を限度とする自己負担であり、食育について学ぶ事ができる。
交流機能については、1階のプレイルームおもちゃ等で親子で一緒に遊びながら、交流や子育て相談を行っている。また工作室を設置し、工作、お絵描き、折り紙等を親子で楽しむスペースとしている。ベビールームはお母さんと赤ちゃんのためのスペースで授乳コーナーもある。また交流ロビーでは子育てに関する本の閲覧や情報交換などができる。情報コーナーでは、パソコンを常設し、子育てに関する情報をインターネットで検索できる。
相談機能については、児童家庭相談事務所を3階に設置し、0歳から18歳未満までの子どもに関する相談を受付けている。
相談内容
- 子どもの発育・発達
- 離乳食や食事
- 子どもの育て方やしつけ
- 保育所・幼稚園・学校での集団生活
- 友だちと遊べない
- 学校に行きたがらない
- 子どもの性格や問題行動
- 親子関係のトラブル
- 養育が困難
- その他(何でも相談できるそうです)
(3)子育て支援に対する施設
高槻市の子育て支援センター「カンガルーの森」は、高槻市子育て総合支援センターを柱に公設の高槻市立富田保育所子育て支援センター、高槻市立春日保育所子育て支援センターの二施設があり、また民設の阿武山たつの子保育園子育て支援センター、芝谷聖ヶ丘保育園子育て支援センター、津之江さくら保育園子育て支援センターの三施設がある。総合支援センターを除き保育所、保育園に併設されている。これら5館を統括するのが総合支援センターである。
その他に『つどいの広場』が市内に13箇所あり、NPO、社会福祉法人、医療法人、大学等の運営主体が参加している。主に乳幼児(0~3歳)をもつ子育て中の親とその子どもを対象にしている。
(4)職員体制(専門職を中心に配置)
1階 保育士・栄養士・コーディネーター・事務吏員
(正職8名、非常勤5名、アルバイト(プレイルーム)6名)
2階 ファミリーサポートセンターアドバイザー(保育士)
(非常勤2名、アルバイト2名)
3階 ケースワーカー・保健師・保育士・心理士・社会福祉士
(正職6名、非常勤2名)
正規職員14名
非常勤職員・アルバイト職員17名
託児保育士(登録制)
(5)利用者
19年度 68,000人
(6)子育て予算
子育て総予算 1億5,735万円。
子育て総合支援センター「カンガルーの森」は、非常勤+アルバイト=17名。託児保育士(登録制)で運営。
「カンガルーの森」総予算は3,195万円。
内訳は、運営費1,850万円、人件費+アルバイト賃金=1,345万円である。
東村山市の「ころころの森」運営費は、今年度半年分で2,525万円である。 東村山市に於いては、予算面で検討の余地があるように思われる。非常勤、アルバイトを活用しコストダウンを図る必要があるだろう。
(7)大学の経営参加
東村山市「ころころの森」は大学が直接運営しているのに対し、高槻市「カンガルーの森」では大学は直接の運営者ではない。情報提供や「つどいの広場」を構内にもち、協力されている。
【考察】
高槻市の子育て総合支援センター「カンガルーの森」は、昨年平成19年4月にオープンした施設である。0から18歳までの子どもと親を対象につくられた施設で、4歳以上のお子さんについては家庭相談が主になっているように感じられた。お子さんの相談年齢は0から2歳児が全体の38%を占め、3~5歳児が27%、小学生23%、中学生9%、高校生3%となっている。
「カンガルーの森」を除く子育て支援センター5館と「つどいの広場」13館は、ほとんどが民間委託され、社会福祉法人、NPO法人、学校法人、医療法人などが運営している。また施設もほとんどが何かの施設に併設されている。
東村山市も民間委託できるものは民間委託し、また今後併設で出来るものは併設で行くべきであると考えます。「子育て広場」なども一部空き店舗を利用しているところがありますが、併設できれば望ましいのではないかと考えます。学ぶことはたくさんあります。経費削減のため担当所管が同行できないのが何より残念なことです。
箕面市障害者雇用支援センター
【箕面市の概要】
箕面市は、大阪府の北西部に位置し、都心部から20km圏内にあって市域の約6割をみどりが占めるという好環境から、自然に包まれた美しい文化都市として成長してきた。
北・中部は硬い岩盤から成る山間部であり、自然豊かな山林に覆われている。南部は都市景観としてすぐれた山麓部を境として市街地を形成し、大阪都市圏のベッドタウン、高級住宅地として発展しています。また、市の西部には箕面川が流れ、上流には明治の森・箕面国定公園があり、訪れる人たちの憩いの場となっている。
人口: 126,863人(平成20年3月末現在)
世帯数: 53,181世帯
面積: 47.84k平方メートル
市制施行: 昭和31年(1956年)12月1日
【視察の目的】
障害者の就労移行支援について、就労先の紹介等に合わせて、就職後のフォローアップやサポート体制、仕事を定着させるケアについてどのようにされているか、また解雇された場合等に、その後のフォローやケアをどうしているか等を視察し、今後発足予定の東村山市の就労支援センターのあり方に活かすことを目的とする。
【視察概要】
<あゆみ>
一 障害者事業団の設立
設立 :1990年6月
出損・寄付:10億350万円(箕面市10億円、市民・団体350万円)
職員 :正規職員29名(うち障害者職員20名)
その他34名(臨時職員30名、嘱託職員1名、市出向職員3名)
主な事業 :市委託事業=リサイクル事業、緑化推進事業
収益事業= 喫茶店運営事業、物品販売事業
障害者雇用支援センター運営事業、パイロット事業、職場
実習事業、就労支援事業、職場適応援助者(ジョブコーチ)
事業
障害者の働く職場づくりをめざして
- 1985年から5年間にわたり検討・準備(市・市民・障害者団体の協働)
- 授産施設や作業所ではなく、障害者が職員として働く場
- 「一般就労がベスト。でも、まずは自分たちの手で実践してみよう」
- 最低賃金。選考採用。時間給の正規職員。1号職員。
二 障害者の雇用の促進などに関する法律制定
三 障害者雇用支援センターの設立
設立 :1996年7月(全国6番目。現在全14センター)
指定地域:箕面市単独(12.5万人)
職員 :正規職員3名、臨時職員1名
運営費 :助成金(日本障害者雇用促進協会。対象経費×3/4)+箕面市補助金
訓練定員:10名(原則1年間の訓練)
<内容>
支援体制の整備
・職員体制―就職した者への職場定着支援を充実
1997年度:加配指導員の配置(臨時職員1名。箕面市単独補助)
2001年度:加配指導員の配置(臨時職員1名。箕面市単独補助)
2003年度:定員増に伴う指導員の増員(正規職員1名)
現体制=所長1、支援係5(正規3、臨時2)、庶務係1(臨時)
・拡大移転―ふれあい就労支援センター
2003年度
訓練定員:15名(5名増)
指定地域:箕面市(12.5万人)、池田市(10万人)、豊能市(2.5万人)
運営費:日本障害者雇用推進協会4/5(9000万円)。市普通財産。事業団が区分所有。
職業の準備訓練
「働く力」を身につけるために
(1)意欲を持たせる・・頑張っていることが実感できるような工夫(目標・記録等)
経験をつむ・・・挨拶や体力づくり、作業をしながら自信をつける
環境を整える・・手順書を作り仕事を分かりやすく、職員間の連携を密にする。
(2)事業主へのアプローチ(企業訪問⇒職場実習⇒雇用)
- フリーペーパーを見ながら職員が営業活動
- 雇用につなげるために、個々人の特性を知り企業にアプローチしながら仕事を増やしていく。
- 前もって職員が下調べを十分にする。現場に出向いて細かくチェック(職場の人間関係など雰囲気も)
- 初期=職員が作業に同行
- 中期=巡回訪問・支援(必要に応じて作業に同行)
- 後期=必要に応じて巡回訪問・支援→ナチュラルサポート(職場の中で支援していく)
就労条件:安定した仕事が毎日あること
保険への加入
フォローアップ
就職後の支援
- 定期的に職員が職場に訪問し本人や事業主への支援をする。
- 本人がスムーズに仕事が出来るように仕事の内容や量を事業主と交渉して変えていくこともします。
- 訓練修了者の集いを毎月1回開き、1ヶ月間の出来事、悩み、頑張っていることを出し合い励ましあっている。
- 職場の定着率を上げている。
<今後の課題>
2001年4月から国の制度転換により、障害者雇用支援センターから障害者自立支援法の就労移行支援事業に変わる。
無料から障害者自立支援法に基づいて1割負担が発生し、支援は無期限だったのから就職後6ヶ月間で支援が打ち切られる。今後とも障害者にとっては最後まで支援をする必要があるので、自治体独自の支援が必要である。
【考察】
国が「障害者の雇用促進などに関する法律」を制定したことにより、課題は多くあっても障害者の企業への就職が増えてきている。箕面市では市民、障害者団体と5年もかけて検討、準備をすすめて事業団を設立し、法制定後は雇用支援センターを独立させた。
支援センターになってからは就職をした障害者が職場に定着をするよう支援するようにと必要に応じて市の補助で職員を増やし内容を充実させている。
このような行政の姿勢が職員を励まし、情熱を持って仕事に取り組めるようにさせていると思う。委員からは「家族、本人への援助を行政がここまで面倒をみるのかと驚いた」「企業に入って行き職場開拓へかける職員のエネルギーが素晴らしい」「企業からの相談まで受けられる職員のレベルの高さがここまで広がっている」など感想があった。
今後、東村山市で予定している就労支援センターを箕面市のような実のある内容にして行きたいものです。最後に、視察には担当所管の方が一緒に来てほしいと全委員の要望でした。
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