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政策総務委員会行政視察結果報告書

更新日:2017年6月29日

1.実施日

平成21年11月12日(木曜)から11月13日(金曜)

2.視察地

(1) 滋賀県湖南市
(2) 大阪府守口市

3.目的

(1) 湖南市 : 統合型経営マネジメントシステムについて
(2) 守口市 : 財政健全化計画について

4.出席者

島田久仁委員長、加藤正俊副委員長
薄井政美、奥谷浩一、石橋光明、田中富造各委員
随行職員 : 榎本雅朝議会事務局次長

5.視察結果報告

《1》湖南市

【湖南市の概要】
湖南市は滋賀県の南東部に位置する。琵琶湖に注ぐ最大の河川である野洲川が市の中心部を流れ、市域を南北に分断している。この野洲川に沿うようにして国道1号線、JR草津線が走っている。昔からの交通の要衝で江戸時代には東海道51番目の宿場町である石部宿が栄えた。のどかな田園風景が広がる一方で、現在は名神高速道路を活用した「湖南工業団地」が造成され、第2次産業へと中心産業は大きくシフトしている。
もともとは石部村、三雲村、岩根村、下田村の4村だったのだが、合併を繰り返し、平成16(2004)年10月1日に甲西町と石部町が合併して湖南市が誕生。「ずっとここに暮らしたい! みんなで創ろう きらめき湖南」を目指してまちづくりを進めている。
人口 5万5604人 世帯数2万1632世帯
面積 70.49平方キロメートル(平成21年12月1日現在)

【視察の目的】
「市民との協働」「市民とともに進めるまちづくり」とひと口に言っても、その手法は自治体によって様々だ。自治基本条例を定めるのも1つの手法ではあるが、もっと具体的に行政の業務について市民の声を反映させたいと、湖南市では平成20年度から準備を進め、平成21年度に「統合型経営マネジメントシステム」を本格導入した。業務手順をホームページで公開するなど、市民参加の新たなアプローチとして注目されているこのシステムが、どういう経過で導入されることになり、どういう効果をもたらせているのか? 「市民との協働」「市民とともに進めるまちづくり」を積極的に推進しようとしている東村山市も学ぶべき点があるのではないかという考えから伺うことにした。

湘南市役所前の視察メンバーの写真
▲湖南市役所前で(左から田中、薄井、石橋、島田、加藤、奥谷)

【視察概要】
 説明してくださったのは、総務部総務課の課長、総務課内にある行政改革推進室の担当者の2人。

(1)導入までの経過
 平成13(2001)年8月、まだ湖南市となる前の甲西町がISO9001(品質管理)の導入に向け、庁内にプロジェクトチームを発足。平成14年11月8日に登録され、平成17年11月8日には湖南市として登録した。
 ISO9001ではPDCAサイクル(Plan:計画、Do:実施、Check:評価、Action:改善)による業務の品質管理を行うのだが、これを進めるにつれ、「業務の品質管理が市民サービスと合致するのだろうか?」という疑問が出てきた。また、各自治体が行っている行政評価(事務事業評価)をISO9001を持ちながらできるのだろうか? 品質管理と行政評価に時間を取られ、本来の業務に支障が出るのではないだろうか?……そういった懸念から、湖南市ではISO9001の特長を活かしつつ、行政評価システムを取り入れた独自の経営管理システムが必要と判断。平成20年5月にISO9001と行政評価を融合させた「統合型経営マネジメントシステムの導入について」という指針を策定し、試行的に導入。平成20年11月7日には統合型経営マネジメントシステムの導入に伴い、ISO9001の登録を返還した。そして平成21年度から統合型経営マネジメントシステムを本格導入し、現在に至っている。

担当者の説明を受ける視察メンバーの写真
▲担当者の説明を聞く視察メンバー

(2)目的と目指す効果
 ホームページにも掲載されている指針「統合型経営マネジメントシステムの導入について」には、「導入の目的と効果」として次の3つが挙げられている。
「わかりやすい市政の実現」……市民との情報の共有化と、市民に対する説明責任の向上を図り、行政活動全般の改善と改革を図ることにより、行政に対する市民の理解と信頼を深め、協働によるまちづくりを推進する。
「自治体経営の質の向上」……行政サービスを成果主義の視点からチェックすることにより、効果的・効率的で市民が真に求める質の高いサービスを安定的に提供し、行政経営の品質向上を図る。
「職員の意識改革」……施策・事務事業の成果や費用などを明らかにすることにより、市民の視点に立って目的志向、成果志向などの経営的観点から仕事を見つめなおし、コスト意識、マネジメント意識を醸成し、政策形成能力の向上に資する。

(3)システムの概要
 統合型経営マネジメントシステムは、以下の体系図のように「経営内容の改善」と「経営手順の改善」の2つの大きな柱から成り立っている。

統合型経営マネジメントシステムについての図

(4)導入後の経過
 「経営内容の改善」としては、事業進捗管理と事務事業評価を実施。事業進捗管理については、湖南市総合計画に掲げるまちづくりの6つの目標ごとに、主要事業の進捗状況をホームページで公表。平成21年12月現在までに4回、公表している。
 事務事業評価については平成20年度は各グループが抽出した83事業を各課で評価したのち、83事業中31事業を滋賀大学の協力のもと、市外委員と市内委員で構成する外部評価委員会によって事業仕分けを実施。1事業に対して45分かけて仕分けた結果、31事業のうち20事業が内容見直し、2事業が民間化、3事業が廃止という評価になった。ただ、事業仕分けはあくまで評価の1つであり、このあと部長・次長による評価、市長および教育長によるヒアリングを経て事業に対する今後の市の方針を決定した。結果についてはホームページで公表している。平成21年度は湖南市職員事業補助金など99の市単独の補助金について評価作業を行っている。
 「経営手順の改善」としては、ISO9001で培った業務手順を、「市民にわかりやすく目に見える形に」ということでフロー図で表記し、ホームページで公開。行政内部での改善はもちろん、市民の意見に基づく改善もしていくという。

(5)効果と今後の課題
 評価シートを記入することで、事業の対象、目的、達成のための手段や方法、成果の有無などを職員が自ら再認識できた。また、事業仕分けは市民の見ている場で評価委員(仕分け人)に対して、事務上の意義と必要性を説明し、数値的な成果を説明しなければならず、職員の多くは苦慮したものの、終了後のアンケートでは大半が「大変意義があった」と回答。確実に職員の意識改革は進んだという。
 また、市民へのアンケートでは「行政の仕事が初めてわかった」「職員の説明不足が見えた」「いらない事業がある」など意見が寄せられ、行政への関心が少しずつ高まってきているという。
 しかし、公開した業務手順に対する市民からの改善意見はなく、“市民の視点”をいかに取り込んでいくかが今後の課題といえる。また、職員の意識改革も進んでいるとはいえ、まだ十分ではない。事務事業評価もいたずらに対象事業を増やせば、職員の負担が増加し「やらされ感」を持つようになってしまう。「自ら業務を見つめ直し、場合によっては縮小廃止することも恐れず、いかに効率的・効果的な事業に改善していくか」という意識を職員が持てるようなシステムにしていくのが課題だという。

【考察】
 もともと甲西町時代からISO9001に登録し、6年間も業務の品質管理に取り組んできたからこそ、行政評価との両立に苦慮し「統合型経営マネジメントシステム」を策定できたと考える。それゆえにこの湖南市の「統合型経営マネジメントシステム」をそのまま東村山市に導入するのは無理だろうし、導入したとしてもほとんど全く機能しないだろう。しかし、参考にするべき点は多く、少しずつでもいいから導入していくべきだ。
 特にホームページで公開している業務手順書は、ぜひ一度、渡部尚市長をはじめ、東村山市役所の職員全員に見ていただきたい。市民にとってわかりやすいばかりか、職員にとっても役立つ作業マニュアルとなっているところが秀逸だ。業務・事務のフロー図、それぞれに対応する事務内容・関連法令・成果物や記録類がきちんと整理されている業務手順書は、「つくれ」と言ってもすぐにできるものではないだろう。しかしこれを1つ1つの事業について作成していけば、結果的には職員の事務能力も上がるだろうし、事業に対する意識も向上すると考える。
 この「統合型経営マネジメントシステム」においては、とかく外部評価委員会による事業仕分けが注目されがちだが、見逃してはならないのは職員に対し、行政評価についての研修を行っている点だ。湖南市では平成21年3月に2日間にわたって、関西大学専門職大学院の経営戦略研究科の稲沢克裕教授を講師に招き、「行政評価による行政経営の進め方―評価の基礎と活用について」というテーマで全職員を対象に研修を行った。こういう研修をすることで職員から「やらされ感」を消し、職員自らが行政評価に積極的に取り組む意識を醸成させている。職員の意識を変えるためには、単に新しい手法を導入するだけでなく、なぜ導入するかをきちんと説明し、「やらされ感」を消していくことが大切と考える。もし今後、事業仕分けを東村山市が導入するのであれば、事前に、もしくはアフターケアとしてでもいいから、こうした研修を行うことを渡部市長に望みたい。

《2》守口市

【守口市の概要】
 大阪府の北東部に位置し、大阪市に隣接しているため大阪市のベッドタウンとなっている。三洋電機の本社創業の地であることから、電気の街というイメージが強い。
 昭和21(1946)年11月1日、守口町と三郷町が合併し、大阪府11番目の市として守口市が誕生。昭和32(1957)年4月1日、北河内郡庭窪町を編入し、現在の市域となった。隣接する門真市との合併が進められていたが、2004年9月に行われた住民投票では、合併反対派が投票の約87%を占め、合併の話は消滅した。
人口 14万8003人 世帯数6万9233世帯
面積 12.73平方キロメートル(平成21年12月1日現在)

守口市役所前の視察メンバーの写真
▲守口市役所前で(左から島田、加藤、薄井、田中、榎本、石橋、奥谷)

【視察の目的】
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律(以下「財政健全化法」)が平成21(2009)年4月1日に施行され、平成20年度決算から適用されることになった。実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つの指標のうち、1つでも基準値を超えると早期健全化団体に指定されてしまうのだが、財政健全化法が施行される前年の平成20年時点、つまり平成19年度決算で見ると、北海道留萌市をはじめ40市町村が早期健全化団体に相当する状態であった。その40市町村の1つである守口市は、早期健全化団体指定を避けるべく、平成20年9月に「(仮称)守口市財政健全化計画」を策定。平成20年度決算は4指標とも基準値内に収め、早期健全化団体の指定を免れた。

 東村山市は平成19年度決算も平成20年度決算も4指標をクリアしているが、決して安心できる状態ではない。守口市のケースを対岸の火事とせず、積極的に学ぶべきと考え、伺うことにした。

【視察概要】
 説明してくださったのは、平成21年4月に市長直属の部署として設置された財政健全化推進室の担当者3人。
(1)策定までの経過
 守口市は大阪市のベッドタウンとして高度成長期に順調に人口を伸ばしてきたが、昭和46(1971)年の18万7791人をピークに人口は減少。平成16年には、15万人を切った。また長期にわたる景気低迷もあり、市税収入は個人も法人も伸び悩む一方。景気の悪さは生活保護費をはじめとした扶助費を増大させ、国民健康保険の大幅な赤字化につながっていった。さらに高度成長期に建設した保育園や公立幼稚園の維持経費、また同じ高度成長期に大量採用した保育士など職員の大量退職による退職手当が財政を直撃。平成19年度決算見込みでは、実質赤字比率が基準値である11.84%上回る13.57%に、連結実質赤字比率も基準値である16.84%を上回る23.18%になる見込みとなり、平成20年9月に「(仮称)守口市財政健全化計画」を策定することとなった。

(2)計画の概要
 計画の期間は平成20年度から平成25年度までの6年間。目標削減額は一般会計が95億円(実質赤字額の解消)、国民健康保険会計が22億円(平成25年度において単年度収支の均衡)。経常収支比率については平成19年度の106.5%を平成25年度末には90%台に改善する目標を掲げた。
 実は守口市は平成17年2月に「財政危機対策指針」を策定し、事務事業の大胆な見直しを実施。平成18年3月には「財政危機対策指針(改訂版)」を策定。民間委託の推進として、指定管理者制度の導入などを行ってきた。だから今回の「(仮称)守口市財政健全化計画」では「現下の財政状況の中では、もはやこれまでのサービスを維持した中での健全化は不可能であることは明白」とし、さらにもう一歩踏み込んだ検討が必要としている。

守口市財政健全化推進室の皆さんの写真
▲説明してくださった守口市の財政健全化推進室の皆さん

 (3)具体的な取り組み
 「安定した市政運営」を目指し、以下の5つ対策を講じた。
 (注記)公共施設のあり方の具体化……キャンプ場の廃止や公立幼稚園の統合、母子生活支援施設の廃止など。
 (注記)事務事業等の見直し……広報誌のカラー紙面凍結、市行事経費の一律20%カット、75ある市単独の補助金や交付金の見直しなど。
 (注記)事務の効率化と定員適正化……定員適正化計画を踏まえた組織のあり方を検討。
 (注記)未利用地の有効活用……旧土居小学校跡地など12カ所の未利用地の売却。
 (注記)市税等収納率向上と新たな歳入の確保策……市民課の待合用長いすへの広告掲載、ごみ収集車公用車への広告掲載など。
 「法による適用団体回避に向けた緊急措置」として以下の5つの対策を講じた。
 (注記)さらなる人件費抑制策の検討……これまでにも平成16年には職員給料を3%カットし、平成17年から18年には6%カット、地域手当ての支給率も10%に据え置いてきた。平成20年度は一時金を0.1%カットし、平成21年度には役職ランクに応じて給料を4から6%カット。
 (注記)建設事業費(臨時経費)の抑制……小中学校の耐震化など市民の安全を守る事業を限定実施。
 (注記)基金からの繰り入れ……定額運用基金を除き、庁舎建設積立基金など5つの基金で実施。
 (注記)職員の大量退職への対応……退職手当債の発行。
 (注記)財団からの出資金引き揚げの検討……財団法人文化振興事業団など4財団について検討。

市民課の待合用長椅子に設置された広告の写真
▲市民課の待合の長いすに設置された広告

 (4)成果と今後の課題
 財政健全化計画による平成20年度の効果額は当初、40億9600万円を見込んでいたが、決算では見込みを上回る42億2300万円となり、前年度に財政健全化法で定める基準値を上回っていた実質赤字比率は2.96%に、連結実質赤字比率は11.71%になり、いずれも基準値内に収まった。
 早期健全化団体に指定されなかったという点では成果を上げたと言えるが、効果額を精査すると、決して手放しには喜べない状況だ。
 まず未利用地の有効活用として当初、17億7500万円を見込んでいたのだが、登記簿の関係で売却が難しいケースが多く、結局6000万円しか実績として上がらなかった。効果額が見込みを上回ったのは、当初見込みより多く基金からの繰り入れをし、退職手当債を発行したのが大きな要因であることを考えると、今後について楽観視できないのが本音と言える。
 しかも、50歳以上が全体の55%を占めるいびつな職員の年齢構成の影響か、「市の財政状況に対する深刻さが職員全体に伝わっていない」と財政健全化推進室の担当者。現在の職員の意識を変え、一丸となって財政健全化に取り組むことが今後の大きな課題だという。

【考察】
 じわじわと増えて15万強の人口になった東村山市と、徐々に減らして15万弱の人口になった守口市。人口動態に違いはあるが、同じような人口規模で、ともにベッドタウンでもあり、何かと共通点が多い。財政状況が厳しい点も似ている。
 平成21年4月から財政健全化推進室を設置し、聖域を設けずに市政全般の見直しを進めている点は評価するものの、職員の意識を変えていく工夫がなく、市民の意見・要望を考慮に入れていないようにも見受けられる。財政健全化計画の最大の目的が、「早期健全化団体の適用を回避すること」だから仕方ないといえばそれまでだが、本来であればやはり「誰のためのサービスであるのか」というその事業の意義を、コスト以前にまず考える必要があるだろう。
 「職員の意識を変えていく工夫がなく、市民の意見・要望を考慮に入れていないようにも見受けられる」のは、実は現在の東村山市も同じだ。財政状況が厳しいとは言うものの、幸いにして早期健全化団体に指定されるほど切羽詰ってはいない。とはいえ、いずれ東村山市もなりふり構わず市政全般を見直す時期がくるだろう。その時に職員一丸となり、市民の協力や意見を得ながら財政健全化に取り組むことができるように、今から職員の意識改革を進め、市民の意見・要望を吸い上げるシステムを確立するべきだろう。
 また、偶然ではあるが、今回視察した湖南市も守口市も、市単独の補助金や交付金の見直しに着手していた。東村山市も第3次行財政改革大綱後期実施計画において「補助金のあり方の見直し」を項目として挙げているが、視察した両市のように集中的に取り組むべきだと考える。渡部市長にはぜひ検討していただきたい。

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