生活文教委員会行政視察報告書
更新日:2017年5月24日
1.実施日
平成25年2月7日(木曜)から2月8日(金曜)
2.視察地
(1) 滋賀県栗東市
(2) 奈良県生駒市
3.視察項目
(1) 栗東市 : 中小企業振興基本条例について
(2) 生駒市 : 指定管理者による公民館運営の実態について
4.出席者
石橋光明副委員長
佐藤真和 小松賢 山崎秋雄 石橋博各委員
熊木敏己議長
随行職員 教育部 間野雅之次長
議会事務局 荒井知子調査係長
5.視察結果報告
《1》栗東市:中小企業振興基本条例について
【栗東市の概要】
栗東市は、滋賀県の南部に位置し、南部の山間部が40%を占めているものの北西部にJR琵琶湖線栗東駅が開設されたことにより、京阪神への通勤圏となり、大規模な住宅整備が進み、人口増加が進んでいる。人口約6.6万人、面積52.75平方キロメートルの都市である。また、国道1号・8号線の通過、名神高速道路栗東インターチェンジの開設などにより、交通の要衝として栄えている。
産業面では、交通の要衝ということもあり、製造業を中心に商業、流通業など数多くの企業が立地している。近年、新幹線(仮称)南びわ湖駅誘致計画が消滅し、計画跡地の工場等誘致に向け取り組んでいる。
【視察の目的】
栗東市が平成24年4月1日に施行した『栗東市中小企業振興基本条例』に関し、条例制定に至る背景、制定までの経緯、条例の内容、今後の展開を学び、議員活動に資する。
栗東市役所にて
【視察の概要】
栗東市中小企業振興基本条例に関して
(1) 条例制定に至る背景
栗東市は、早くから、交通の要衝として京阪神圏及び中京圏への良好なアクセスに基づく潜在力の高さから多くの企業が立地してきた。JRA栗東トレーニングセンターもその一つだが、中小企業は、製造業を中心に栗東市の経済力の大きな基盤となってきた。また、3,062事業所中、従業者数10人未満の事業所数が7割を占めている栗東市では、市の発展には中小企業の振興が不可欠になっている。
そこで、地域行事への積極的な貢献等により、地域社会においても不可欠な存在となっている中小企業を振興する上での企業、行政及び市民の役割や関係を明確にし、互いの声をよく聴きながら施策を推進することによって、栗東市をより豊かで、住み続けたくなるまちにしていくことを目指して条例を制定することになった。
(2) 条例制定までの経過
平成22年9月、市及び中小企業者等が中小企業の振興方策について協働で検討するため、栗東市中小企業振興会議設置要綱を策定、施行した。この中小企業振興会議は、学識経験者、商工会の代表者、市商工政策課長、公募市民等10名で組織された。また、振興会議で選任された数名と振興会議委員により、専門的な事項などを調査する専門部会が設置された。
平成23年度に3回の専門部会が行われ、ワーキンググループとして条例案骨子・草案を作成し、平成23年12月の第2回栗東市中小企業振興会議で専門部会案が確認され、パブリックコメントやフォーラムを経て、平成24年3月第3回栗東市中小企業振興会議で条例案の最終確認が行われた。そして、平成24年3月栗東市中小企業振興基本条例が栗東市議会で議決され、同年4月1日施行となった。
栗東市役所にて
(3) 条例の概要
前書きには、条例制定に至る背景と趣旨が記され、全8条で構成された条例である。
第1条には、条例の目的が次のように記されている。『この条例は、中小小企業の振興に関し、基本理念を定め、市の役割、中小企業者等の努力すべき事項及び市民の協力について明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市の経済の発展及び市民生活の向上を図ることを目的とする。』
第2条には、中小企業者等用語の定義が記されている。
第3条には、中小企業者の自主的な取り組みや、住み続けたくなる地域づくりへ向け一貫した施策の推進、市の産業構造や地理的条件による特性の活用、地域における多様な主体の協力について基本理念が記されている。
第4条には、経営の革新や新規起業、創造的な事業活動の促進、経済的社会的環境の変化への適応の円滑化、中小企業者の経営基盤の強化を促進、中小企業者と地域の協力関係を創出、産学官連携の推進、地域資源の活用、観光及び農商工連携の取り組みや地産地消の推進、小規模事業者への配慮について基本方針が記されている。
第5条には、基本方針に則した総合的計画的な事業の策定及び実施、中小企業者相互及び関係機関の協力関係の構築、情報の収集と提供、中小企業者の受注機会確保について市の役割が記されている。
第6条には、経営の革新・経営基盤の強化、雇用環境の整備及び人材育成、地域社会への参画、市民等との協力関係の構築、製品・サービスの開発及び改善、基本理念実現への主体的な取り組みについて中小企業者の努力すべきことが記されている。
第7条には、中小企業者と連携した研究開発及び製品企画等大企業者の努力すべきことが記されている。
第8条には、消費者として、市内において生産、製造又は加工される産品の積極的な購入に努める等、市民の理解及び協力について記されている。
【考察】
栗東市中小企業振興基本条例が目指したものは、中小企業者をはじめ、市、大企業者、市民のそれぞれが連携・協働し、中小企業の振興を図ることによって、栗東市をより豊かで住み続けたくなるまちづくりである。
しかし、基本条例施行後も振興会議、専門部会は引き続き継続され、基本条例に示された基本方針を具体化した『振興ビジョン』については、まだ明確になっていない。平成25年2月の第5回振興会議にも専門部会から振興ビジョン案が示されたようだが「再検討すべき」との結論により、専門部会に差し戻されたそうである。
市の経済を支える商工業が活発に展開され、まちのにぎわいと活力を創造するまちを目指す本市にとって、栗東市中小企業振興基本条例の理念と基本方針は大変参考になり、今後、東村山市の商工業・サービス産業の振興を図るべく努力していきたい。
《2》生駒市:指定管理者による公民館運営の実態について
【生駒市の概要】
生駒の歴史は古く、遺跡などから縄文期までさかのぼることができ、古くから文化が開け、江戸時代、僧湛海によって宝山寺が開かれ、門前町として発展してきた。大正3年に生駒トンネルが貫通し、大正7年には、日本最初のケーブルカーが宝山寺まで完成すると、北生駒村は急速に開け、大正10年には町制を敷くに至ったそうである。
その後、南生駒村、北倭村を編入合併し、昭和46年11月に県下9番目の市として現在の生駒市が誕生した。
近鉄奈良線、近鉄生駒線、近鉄けいはんな線、阪神高速道路・阪奈道路等で大阪、神戸、京都への通勤圏となり、住宅都市として発展している。人口約12万人、南北15キロメートル、高低差560m、面積53.18平方キロメートルの都市である。
【視察の目的】
生駒市が平成24年7月より開始している『指定管理者による公民館運営』の実態について、指定管理者制度による生涯学習施設運営に至る背景、その導入までの経緯、また、運営上の課題や成果等を学び、議員活動に資する。
【視察の概要】
(1) 生涯学習施設の変遷及び指定管理者制度導入の経緯と経過について
指定管理業務開始までを時系列で整理すると次のとおりである。
・昭和33年、中央公民館が開館。平成2年以降、生駒市の南北に細長い地理的特性と社会の高齢化や余暇時間の拡大などにより、施設の利用目的や使用形態の多様化に対応できるよう南コミュニティセンター及び北コミュニティセンターを建設。
・平成23年3月、新規施設整備が困難な財政状況及び施設内空室の効率的な活用を図るべく、営利や政党の利用が可能なコミュニティセンター施設にするため国に届出し、転用。
・平成23年9月、より効率的な施設の運用と利用者サービス向上のため、旧公民館3施設を含む生涯学習施設6施設について、公募による指定管理者制度の導入に向け、条例を制定。同年9月末、公募を開始。
・平成24年4月、中央公民館を「たけまるホール」に、南コミュニティセンターを「せせらぎ」に、北コミュニティセンターを「ISTAはばたき」に、鹿ノ台地区公民館を「鹿ノ台ふれあいホール」に改称。
・平成24年7月、生涯学習施設6施設、指定管理業務開始。
(2) 運営上の成果と課題
指定管理者選定にあたり教育委員会としての方針は、施設の設置目的を達成するため、コンサート及び芸術文化事業や生駒市又は奈良県の特性を生かした事業等文化芸術活動の振興に関する事業の推進と、生涯学習活動の振興に関する事業の推進である。また、選定にあたり重視した点は、維持管理体制や利用料金等『管理運営業務』、利益配分率等『収支計画』、そして、『自主事業の考え方』の3点であった。特に、受付時間の延長、休日開館、稼働率の数値目標、利益の60%を市に還元する点が決め手となり、現在の指定管理者となった。
指定管理者が開始してから1年が経過していないので、成果と課題について明らかにできる時期ではないとしていたが、平成24年7月~12月と平成23年7月~12月を比較すると、平均利用件数で207件、利用人数5,498人増となっている。また、視察した「たけまるホール」の小ホール、大ホールの稼働率も増加しているそうである。
利用料金については、平成23年6月に社会教育施設使用料見直し検討委員会の提言をもとに設定していた。また、社会教育施設使用料減免見直し検討委員会で減免について検討されたが、減免については原則なしとなっている。
今後、モニタリング(平成25年2月実施予定)をもとに評価し、課題抽出に取り組むことにしているとのことであった。
【考察】
「たけまるホール」は、生駒市中央公民館から名称変更し新たにスタートした。「生駒市の中心的な文化創造の拠点として、これからも文化・芸術・教育などを通して未来へとつなぐイベントを繰り広げていきます。」と、このホールのリーフレットに書かれていた。このリーフレットは、6施設の指定管理業務を開始すると同時に、それぞれの施設について作成されていた。施設の写真、施設配置図、利用申し込みなどのインフォメーションで構成されたリーフレットからも指定管理者の意欲が感じられた。また、視察した「たけまるホール」は、1階で市内児童生徒の作品展が開催されていたこともありにぎわっていた。地域イベントに積極的に参加するなど指定管理者が地域にとけ込もうと努力されている様子が窺えた。『コンサート等の集客も順調だが、指定管理業務1年目で手探りではあるが、市民の憩いの場として、生涯学習の場として愛される施設にしていきたい。』と、担当者が話されていたことが印象に残った。
今後も連絡を取り、指定管理者による公民館運営の成果と課題について学び、東村山市生涯学習施設運営のあり方等について参考にしていきたい。
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