環境建設委員会視察報告書
更新日:2013年12月24日
1.実施日
平成25年11月7日(木曜)から11月8日(金曜)
2.視察地及び目的
(1)ワーカズコープ 南関東事業部
芝山地域福祉事業所 あぐりーん
「資源循環サイクル 菜の花プロジェクトについて」
(2)中央電気工業株式会社 鹿島工場
(3)株式会社 カツタ
「東村山市が排出する、燃やせないごみの処理経過について」
3.出席者
出席者 委員長 奥谷浩一、副委員長 山口みよ
赤羽洋昌、村山淳子、土方桂 各委員
議長 肥沼茂男
随行職員 資源循環部施設課長 武田源太郎
議会事務局議事係主事 並木義之
▲環境建設委員メンバー
《1》資源循環サイクル 菜の花プロジェクトについて
視察日:平成25年11月7日(木曜)
視察先:千葉県山武群芝山町岩山1110―1
芝山地域福祉事業所 あぐりーん
▲説明を受ける委員の様子
【概要】
2007年から始まった“菜の花プロジェクト”から始まった家庭からの廃食用油の回収を、いわゆる引きこもりやニートと呼ばれる社会経験の少なさや自信を失った若者自立支援を立ち上げ、途中政府の事業仕分けにおいて事業を終了したが、その事業の卒業生などが就労し、失敗を重ね周りの人に支えられて事業を継続している。
現在は、成田空港内レストランやホテル・機内食メーカーなどから廃食油を回収し、バイオディーゼル燃料(BDF)に精製して、回収したホテルの送迎バスや地元農家の農機具へ利用してもらっている。また、菜種油を作りその作りかすを養豚所に提供してブランド豚(菜の花ポーク)を作っている。その豚を成田のホテルに卸して使ってもらい、無駄のないリサイクルを展開している。
今後は、国からの補助金を使い規模を拡大してもっと多くの若者が働ける場所にしていくべく地域のつながりをもっと深めていく取組を考えている。
また、“菜の花プロジェクト”は、2011年秋には利根川河川敷(40m×500m)で開始し、2012年には圏央道に繋げ観光の拠点として夢を膨らませている。
【考察】
ワーカーズ北関東事業部が中心にBDF工場を運営しており、その規模は日産60リットルと小規模で、工場の人数は原田工場長と労協若者自立塾の卒業生2人で運営している。
しかし、その精製はかなり精度が高く評価も高いもので、JIS規格でも最高品との自信を持っているだけあり、サンプル品を見たがにおいや透明度は素晴らしい品物だ。今後の展開としては、1日1,000リットル規模のプラントに拡張して、経営の安定と若者の就労支援や地域の需要にこたえるそうだ。
当市においてこのような施設や若者自立支援事業を進めるには、土地の確保や指導員の問題、廃食油の確保も難しく、現在はBDFの需要も無いに等しい状況のため、本格的に始動するにはそこら辺のリサーチや、協力者(農家・ホテル・レストラン・定食屋)の呼びかけから始めないといけないと感じた。
もう一つの事業の“菜の花プロジェクト”も順調に進んでおり、国有地に間違えて植えてしまったが、その事が事業拡大に繋がった。所長が強く主張したようにまず動く事を実践した賜物で、今後の展開も期待できる。当市においても障害者の就労先として考えている団体が存在しているが、やはりある程度の土地が必要であり、栽培の指導者も必要と課題は満載だ。しかし、当市には国有地が多く存在していることもあり、まずは「動く事」が先決と考え、常に訴え続けることが大事だと考える。これからは、このような循環型事業を展開して、実践することがエネルギーや環境に優しい地域を作るのには必要と感じた。
▲BDFで走る廃油集めのトラック
▲BDF精製の行程表
▲BDFが出来るまでの透明度を説明
▲てんぷら油のにおいがするか確認
《2-1》東村山市が排出する、燃やせないごみの処理経過について
視察日:平成25年11月8日(金曜)
視察先:茨城県鹿嶋市光4番地
中央電気工業株式会社 鹿島工場
【視察目的】
東村山市が排出する、燃やせないゴミの処理経過について把握する。
【視察概要】
当市で燃やすことができないゴミは、茨城県ひたちなか市にある「株式会社カツタ」にて、焼却処理を行い余熱利用される。焼却後に発生した、焼却灰は、当該視察先である「中央電気工業(株)鹿島工場」の電気炉にて、溶融資源化処理を行うものであるが、現在の処理状況等について説明を受けた。
(1)施設概要
溶融炉処理能力:合金鉄製造電気炉×2基 115.3t/日
専用電気炉×2基 240.0t/日
合計 355.3t/日
(2)処理の必要性
当該施設に搬入された焼却灰は全量資源化されている。
溶融処理で出来るスラグ(年間4万トン生産)は、80ミリ程度の大きさに破砕し建設資材として活用しており、強度も成分構成も自然界のものと変わらないため、東日本大震災の復興支援においても、宮城県石巻市の堤防の資材として、約3万トンを売却するなど有効に活用されている。
また、メタル(年間3万トン生産)は、金や銀、銅などの資源を効率よく回収でき、メタルに含まれる金は1トン当たり約50グラム、銀は約1,500グラム、銅が約10%回収され、優秀な金鉱山で同量の鉱石から回収できる金は約20グラムであることから、循環型社会形成に貢献している。
そして、一般廃棄物の処理において、埋め立てに必要な最終処分場の確保は、全国の自治体においても共通の課題であり、その延命化にも寄与している。
▲溶融化処理フロー
▲中央電気工業 鹿島工場にて
【考 察】
中央電気工業は民間企業として、平成7年に日本で初めて焼却灰溶融処理事業を開始した企業である。
全国自治体の焼却灰のほか、当市以外にも多摩地域の自治体の一部が、焼却灰を搬入し溶融資源化を行っているとのことで、各自治体は民間企業の協力を得て、循環型社会形成に向けた取り組みを行っている。
溶融施設が遠いことやコスト面などで課題はあるが、視察概要でも記したとおり、金などの資源回収効率が良いことは、都市鉱山として機能を発揮しており、スラグなども自然界から採取した砕石と比較して、何らそん色ないことから建設資材としての用途も広く、環境への負荷も少ない。
埋め立てによる最終処分などを行う場合、処分場用地の確保の問題をはじめ、回収できるはずの資源を捨ててしまっているといえることから、焼却灰の溶融資源化は資源の少ない日本にとって、有効な手法だと思われる。
あたりまえのことだが、自治体の行うごみ処理は、市民生活の根幹を支える最も重要なものに位置づけられる。
今回の視察で改めて感じたことは、自治体が担うべき部分と民間企業のノウハウを活用すべき部分の内容検討も視野に入れて、将来のごみ処理計画を策定していく必要があるということである。
《2-2》東村山市が排出する、燃やせないごみの処理経過について
視察日:平成25年11月8日(金曜)
視察先:茨城県ひたちなか市高野1968-2
株式会社 カツタ
【視察目的】
環境建設委員会の所管事務調査として「ごみ減量」をテーマにした。
自分たちのごみがどのように処分されているのか、実際に見て確認することから始めることになった。
今回は「燃やせないゴミ」についての視察である。
収集されてきたごみは秋水園からそのままトラックに積み替えられ、カツタと山梨県の笛吹市の2か所に運ばれる。遠距離運ぶ問題、(株)カツタでの処理方法、また、その後中央電気工業(株)へ送られていくまでの間で何か検討する余地があるかなど考えたい。
▲説明を受ける委員の様子
【視察概要】
(1)近隣では処理するとこがないため、100キロメートル以上の距離をトラックでひたちなか市まで運搬しなければならない実情。
(2)「燃やせないゴミ」の中には塩化ビニールが多く混入している。塩化ビニールは焼却するとダイオキシンや有害物質を発生し、焼却灰には塩素が残りエコセメントとしても利用価値が少ないといわれている。しかしダイオキシンについては850℃以上の熱で分解させ、すぐに240℃以下で冷却をして再合成を抑え、さらに消石灰で吸着するためダイオキシンの発生はほとんどないとのこと。他の有機物についても国の基準値以下で抑えているということであった。
しかし塩化ビニールが入っていない廃プラスチックであれば「カツタ」でプラスチックをクレヨン状の固形化燃料(RPF)にし、製紙工場などで利用しているとのこと。
家庭ごみの場合は塩化ビニールを選別することができないため、全て焼却することになっている。
(3)焼却灰について東村山市では、カツタから中央電気工業に持って行き、溶融固化しスラグとメタルに分解し、完全に資源化する契約をしている。
▲株式会社 カツタにて
【施設概要】
・取扱品目 可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ他
・処理能力 廃プラスチック類の破砕施設 8t/日 8h/日
廃プラスチック類の破砕施設 55t/日 8h/日
【考察】
「燃やせないゴミ」が最後まで資源化されていることを確認してきた。他のほとんどの自治体では、焼却までの処理で終わっていることを知り、東村山市の姿勢は評価できることと思った。
しかし年間2,677tの「燃やせないゴミ」の発生、トン当たり56,000円(税抜)の処理料、100キロメートル以上の距離を1週間に約3台の10tトラックで運搬しなければならないことなど環境問題、コストの問題など大きな課題を突き付けられた思いだ。分別収集を増やし、できる限り資源化することなど、ごみ減量をどうしたらできるか考えていきたい。
また塩化ビニールについては大きな環境問題になっているが、便利な商品として生活の中に入り込んでいる。これを一般のプラスチックと選別することは、ほとんど困難である。塩化ビニールの有害性や取り扱いについても今後研究していきたい。
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