議会運営委員会視察報告書
更新日:2018年3月29日
1.実施日
平成30年1月18日(木曜)~19日(金曜)
2.出席者
委員長:駒崎高行
副委員長:熊木敏己
委員:島崎よう子、おくたに浩一、村山淳子、土方桂、石橋博、石橋光明、山口みよ
議長:伊藤真一
副議長:小町明夫
▲多治見市役所前
3.随行職員
議会事務局次長:湯浅崎高志
4.視察地及び目的
岐阜県多治見市
◆議会運営、議会改革について
- 岐阜県多治見市 の概要(平成29年4月1日現在)
人 口:112,145人
世帯数:45,824世帯
面 積:91.25平方キロメートル
多治見市は、岐阜県の南南東、名古屋市から北東36キロに位置し、昭和30年代から名古屋市のベッドタウンとして発展してきた。東濃地方の産業、経済、文化の中心地であるとともに、中部経済圏の一翼を担っている。
奈良・平安時代より陶器産国として知られ、江戸時代からは陶磁器産業の発展がめざましく、日本陶業の中心地となっている。
- 視察の目的
平成26年4月1日に議会基本条例が施行されてから、当市議会では「市民に開かれた議会」を目指して、様々な議会改革に取り組んでおり、現在も議会運営に係る諸課題について検討を重ねている。
多治見市議会では、平成22年に議会基本条例を制定し、早くから議会改革に着手し、地方自治法第96条第2項の規定に基づく議決事項の追加反問権の拡大、市民との対話集会、総合計画策定への関与など、様々な取組みを行っていることから、今後の議会運営の参考とするため視察を行った。
- 視察の概要
▲多治見市議会議員と一緒に
(1)多治見市議会について
・議員定数:24人
・常任委員会の構成:
総務常任委員会(定数8人)
経済建設常任委員会(定数8人)
厚生環境教育常任委員会(定数8人)
・研究会:広報広聴研究会(定数7人)
議会活性化研究会(定数7人)
(2)地方自治法第96条第2項の規定に基づく議決事項の追加
多治見市議会基本条例第16条には、議会の機能強化を図るため、必要と認めるものについては、議決事項に追加することができる旨が規定されている。これを受け、「地方自治法第96条第2項の規定により議会の議決すべき事件を定める条例」にて、総合計画のほか市長発議による市民投票の実施など、以下の7項目について議決事項とすることを定めている。
・多治見市総合計画基本構想及び基本計画の策定又は変更
・名誉市民の選定及び礼遇の同意
・市政監察契約の締結、変更又は解除
・市長発議による市民投票の実施
・子どもの権利擁護委員の選任又は解任の同意
・財政再建計画の策定又は変更
・名誉えい域の使用の許可
(3)反問権の拡大
多治見市議会では、議会基本条例を制定した当初、執行部からの反問を一般質問に限定し、市長のみに認めていたが、平成26年の条例改正で、すべての質疑、質問のほか議員提出議案にまで対象を拡大するとともに、市長以外の答弁者にも反問を認めた。また、反問の内容も質問趣旨の確認だけでなく、考え方や根拠、疑問点の指摘など、さらに踏み込んだものとなっている。これにより、論点が明確になり、より議論を深めることができている。
(4)市民との対話集会
広報広聴研究会が中心となり、平成22年から市内の3~8会場で市民との対話集会を開催している。平成26年には、開催日時や会場のレイアウトを工夫したり、会場ごとにテーマを設定したりするなど、運営方法を変更した。これにより、会場の雰囲気が良くなり参加者が増加した。
また、「子どもも市民」という考えから、中学生や高校生との対話集会を開催したり、試行的に市民との談話室を設置したりと、より多くの市民の声を聴くために試行錯誤しながら取り組んでいる。
(5)総合計画策定への関与
多治見市の最上位計画として位置づけられている総合計画の策定にあたり、多治見市議会では、全議員を委員とする「総合計画策定特別委員会」を設置し、7か月にわたり議論を重ねてきた。
はじめに、各議員から総合計画に掲載すべき政策を一人一提案以上募り、結果、計90事業の提案があった。次に、三つの分科会に分かれ集中的に審査を行い、最終的に、8事業を議会の総意として市長に要望した。この8事業のうち、7事業(医療施設での病児保育、多治見駅周辺のにぎわい創出、効果的な夏の暑さ対策等)が、追加・修正され計画に反映された。
- 考察
多治見市議会は、平成22年に議会基本条例を制定して以来、様々な議会改革に取り組んできた。地方自治法第96条第2項の規定に基づき、7つの項目を議決事件として定めた。その中で、現在、東村山市議会でも検討課題に上がっている総合計画の策定及び変更についても議決事件に盛り込んでいる。
総合計画の策定及び変更を議決事件にしたきっかけは、現多治見市長から、議員も総合計画策定に最初から関わるよう提案があったためであり、これを受け、議会では全議員が参加する総合計画策定特別委員会を設置し、分科会を多数開催し、議論を重ねた。ここで重要なことは、いずれの計画も賛成・反対のみでは決めず、全員が納得する条文を作ることを徹底したことである。
また、中学生や高校生との対話集会の開催にあたっては、18歳選挙権が実施される年に、市の選挙管理委員会が市内の高校に出向き、選挙の大切さや必要性を伝え、模擬選挙を行ったところ、学校側から議会に対し、市の政策や今後の多治見市の動向を聞かせてほしいとの依頼があった。これを受け、議員全員で高校生との対話集会を開いたところ、評判が良かったため、その後、中学生にも拡大することができた。
このように、多治見市議会では、議会を良い方向に持っていくことに対して議員全員で取り組んでいる。総合計画策定特別委員会においても、様々な意見が出たが、全員が聞く耳を持って議員個人、会派の考えをなくし議論を重ねている。当市議会では、全議員が決めたことを決めたとおりに行うことから始めなければと痛感した。
愛知県安城市
◆議会運営、議会改革について
- 愛知県安城市 の概要(平成29年4月1日現在)
人 口:187,192人
世帯数:73,691世帯
面 積:86.05平方キロメートル
安城市は、昭和27年に市制を施行し、県下13番目、人口37,704人の市として誕生した。かつては「安城が原」と呼ばれ不毛の地であったが、今日では「日本のデンマーク」と謳われるほどの農業先進都市となり、都市と田園のバランスが取れたまちとなっている。
- 視察の目的
安城市議会では、「市民に開かれた市議会」を目指し、議会内にプロジェクトチームを立ち上げ、平成27年に「議会ICT推進基本計画」を策定した。全議員にタブレット端末を貸与し、会議に活用したり、情報発信力を強化したりと、議会・議員の見える化・魅せる化に向け、様々な取組みを行っていることから、今後の議会運営の参考とするため視察を行った。
- 視察の概要
(1)安城市議会について
・議員定数:28人
・常任委員会の構成
総務企画常任委員会(定数7人)
経済福祉常任委員会(定数7人)
市民文教常任委員会(定数7人)
建設常任委員会(定数7人)
(2)議会ICT化推進基本計画
議会ICT推進基本計画に基づき、ペーパーレス会議、電子スケジュール・掲示板、議会の生中継、SNSの活用、ホームページのリニューアル、議会情報のオープンデータ化、議会BCPなど、7分野29項目のICT化事業を4年間で実施することとした。
▲タブレット操作を体験する東村山市議会議員
(3)ペーパーレス議会の実施
平成28年6月定例会より、議案書等は、各会派に一部ずつ配布し、議場では全議員がタブレット端末を活用する本格的なペーパーレス議会を開始した。この間、議会事務局職員による議員を対象としたタブレット端末基本操作研修会を計10回実施し、議員の操作技能の向上に努めた。ペーパーレス議会により、紙の使用枚数が実施前より58.6%削減できた。
▲安城市議会のキャッチコピーとロゴ
(4)ホームページのリニューアル
議会の堅いイメージを刷新し、議会にもっと興味を持ってもらうため、「やるじゃんANJO!」をキャッチコピーに、ロゴの作成、PR動画の掲載、キッズページの作成、問い合わせ・アンケートフォームによる市民の声の反映、アイコンによる操作性の向上等、ホームページのリニューアルを行った。今後も、動画を多用して議会のイメージを向上させるとともに、親しみやすく分かりやすいホームページになるよう取り組むとのこと。
- 考察
安城市議会の議会ICT 推進の取組みについて、議会改革の歩みにそって、丁寧にご説明いただいた。あわせて議員活動に実際に使用しているタブレットを貸していただき使い方も理解することができる視察となった。
議会をどのように思っているか?議会は今のままでいいのか?など市民アンケートを行い、その調査結果から、「議会情報がない、活動内容がわからない、市議会の具体的な動きが見えない」という課題を明らかにして、それらを解決するために議会の見える化に向けて改革を進めている。議会ICT 推進でタブレットを導入し、それを活用することで、議会審議、支援者・市民への説明、スケジュール管理や事務局との連絡調整などを効率的に行えている。当市議会で導入する場合も、安城市議会と同様に課題となるのは、費用面、議員全員での活用、行政側の理解などが考えられる。今回の視察でご教示いただいたことを参考に、当市議会としても議会ICT推進については、優先して検討すべき事項と考える。
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