厚生委員会行政視察報告書
更新日:2019年12月20日
1.実施日
令和元年11月12日(火曜)から11月13日(水曜)
2.出席者
委員長:佐藤まさたか
副委員長:横尾たかお
委員:下沢ゆきお、浅見みどり、木村隆
3.随行職員
子ども家庭部次長:谷村雅則
議会事務局主任:新井雅明
▲ 尾張旭市役所にて
4.視察地及び目的
(1)愛知県尾張旭市
児童の放課後対策について
(2)愛知県半田市
地域包括ケアシステムの取組み
(1)愛知県尾張旭市 児童の放課後対策について
尾張旭市の概要(令和元年10月31日現在)
人 口:83,773人
世帯数:35,583世帯
面 積:面積21.03平方キロメートル
尾張旭市は、愛知県の北西部に位置し、尾張丘陵とこれを開いた矢田川の流域に広がっている。「みんなで支えあう 緑と元気あふれる 住みよいまち 尾張旭」を将来都市像に掲げ、市内には、愛知県森林公園をはじめ大小さまざまな公園があり、自然と調和のとれたまちづくりを進め、四季を通じてまちを楽しみ、自然を満喫でき、全ての人々が笑顔で元気に暮らせる活気あるまちづくりが行われている。
視察の目的
当市では、増大する放課後児童対策のニーズに対応するため、来年度から4つの小学校内に新たな児童クラブが開設することになっている。児童クラブの運営主体を含めた今後の課題に対応するため、当市同様に大都市近郊にあり、学童クラブ、児童クラブ、児童館ランドセル来館と様々な形態で児童の放課後児童対策に取り組んでいる先進市を視察した。
視察の概要
▲説明に耳を傾ける厚生委員会委員
尾張旭市では、親の就労状況に関わらず、全ての児童が放課後を安全安心に過ごせるよう環境整備に取り組んでいる。具体的には、児童クラブ・学童クラブや児童館事業の継続、放課後子ども教室の新規開設などである。
尾張旭市では、現在、児童館が9か所(うち3か所公設民営)、児童クラブが全9か所(うち学校内が7か所・児童館内2か所。3か所は民間委託、うち1か所は学校内)、学童クラブが7か所(民間)、さらに10月からは「児童館ランドセル来館」の試行と、多様な運営形態で進めている(東村山市は、児童館5館、児童クラブは小学校15校に対し25か所、うち24か所が市直営、1か所が公設民営で指定管理者による運営)。
▲児童クラブの様子を見学
1)児童クラブについて
児童クラブを民営化したことにより、勤務時間が不規則で、特に長期休業中のみの雇用が難しい児童クラブ指導員の手配をしなくてよくなったことは大きな成果とのこと。ただし、民間企業では施設の維持管理に費用をあまりかけない傾向があるため、定期的に現場に赴き指導する機会が増えていることは今後の課題となっている。また保育の質を向上させるため年2回児童クラブ指導員を対象としたテーマ別研修や民間学童にも声を掛け、外部指導員による児童クラブ指導員等研修や児童クラブ指導員交流研修を年1回程度実施している。そのほか、月1回、公立、公設民営の児童クラブ施設長が集まり、児童クラブ会議を開催し、共通認識・理解を図り、情報を共有している。
入所状況については、平成26年に448人だった申し込み者数が年々増加し、平成31年には758人となった。その間、並行して待機児童対策として定員数を拡充した結果、視察当時、待機児童はゼロであった。学校の空き教室の共用スペースを活用するなどの工夫もされていた。
2)ランドセル来館(愛称:ランらん)について
令和元年10月7日から児童が放課後に安全・安心に過ごすことができる居場所づくり事業の1つとしてランドセル来館を創設。ランドセル来館とは、小学校から帰宅することなく、直接児童館へ来館できる。児童クラブのような預かりの場ではないため、短時間利用希望者や高学年児童の受け入れや、保護者の就労を利用要件とすることなく利用できる事業。学校休業日を除く月曜~金曜日の放課後~午後4時30分の試行運用している。現在では23名が利用しており、児童クラブの待機児童対策としても機能している。
考察
少子化や核家族化の進行、共働き家庭の増加等により、子どもを取り巻く環境は大きく変化している。国では、共働き家庭等の「小1の壁」を打破し、全ての就学児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験と活動を行うことができるよう、放課後児童クラブと放課後子ども教室の一体的な実施をする「新・放課後子ども総合プラン」が作成された。
尾張旭市では、共働き家庭の増加等により、放課後児童対策として児童クラブの利用増加に対応するため、定員数の拡充に加え、放課後に直接向かえる居場所の選択肢を増やすため、ランドセル来館を令和元年度10月より試行するなど、子どもが放課後を安心・安全で過ごせる環境づくりに努めていた。また、量の拡大のみならず、指導員の研修の充実や指導員間の情報の共有の機会を作るなど、質の確保にも注力していることが分かった。
今回、尾張旭市の取り組みを視察し学んだことを参考に、今後の当市における学童クラブ民営化や保育の向上に繋がるよう考えて行きたい。
(2)愛知県半田市 地域包括ケアシステムの取組み
半田市の概要(令和元年11月1日現在)
人 口:120,121人
世帯数:51,923世帯
面 積:47.42平方キロメートル
半田市は名古屋の南、中部国際空港の東にあり、知多半島の中央部東側に位置する。昭和12年(1937年)に誕生し、古くから海運業・醸造業等で榮、知多地域の政治・経済・文化の中心都市として発展してきた。半田市の象徴は、山車・蔵・南吉・赤レンガ。山車の歴史は古く、300年余の歴史があり、中でも「亀崎潮干祭りの山車行事」はユネスコ無形文化遺産に登録されている。半田市中央にはミツカン本社があり、蔵造りの街並みには風情が感じられ、平成29年3月には「半田市シティプロモーション戦略」を策定し、国内外に向けて観光を推進している。
視察の目的
地域包括ケアシステムの中で特に終末期への対応として、半田市が行っている在宅医療連携システムの運用、半田市地域包括ケアシステム推進協議会で策定された「『身元保証等』がない方の入院・入所にかかるガイドライン」における先進的な取り組みについて学ぶため視察を行った。
視察の概要
半田市では、地域包括ケアシステムの主軸を担う地域包括ケアシステム推進協議会を中心に検討、協議を行い、「『身元保証等』がない方の入院・入所についてガイドライン」を作成するなど、独自の取り組みを進めている。
また、平成30年度には市役所高齢介護課が「在宅医療・介護サポートセンター」を開設し、在宅医療・介護に関する連携の促進も行っている。
▲説明に耳を傾ける厚生委員会委員
1)「身元保証等」がない方の入院・入所にかかるガイドライン策定
医療や介護の専門職が、所属する医療機関や施設の方針に基づいて、関係機関と連携しながら対応していたが、それぞれの現場で身寄りのない方の対応が増えつつあること、経済面の困難さ、戸籍上の家族はいても身元保証人にはならない等複雑な家族関係、認知症などご本人の意思がくみ取りにくい場合など、多くの課題が複合するケースも増え、身元保証がない方がどのような社会保障を求めているかを整理することで、具体的な支援の内容を明確にし、必要な医療や介護をスムーズに提供することを目的としている。
ガイドラインでは、具体例をいくつか挙げ、医療・介護の現場で扱いやすいように工夫されている。また、行政用語を多用することを避け、分かりやすい言葉と表現に努め、使いやすさへの配慮がされている。
年金が少ないなど経済面が課題となる場合は、生活援護課や生活困窮担当と連携しながら対応を進めている。
2)「事前指示書」の策定について
半田市のイベント「リビングウィル講座」開催時、600人の会場が満席になるほどの大盛況だった。その中で市民からの意見として、終末期について考えるためのフォーマットがほしいという意見が複数出たことから、リビングウィルについての考察を開始。「半田市地域包括ケアシステム推進協議会身元保証部会」で策定されたのが「事前指示書」である。
事前指示書の特長として、次の3項目で構成されていることがあげられる
1.あなたに代わって、あなたの医療やケアに関する判断・決定をしてほしい人
2.望む医療処置・望まない医療処置
3.残された人生を「自分らしく過ごす」ために望むこと
また、事前指示書はA3サイズを二つ折りにした1枚だけの簡単な用紙になっており、少ない文字数で分かりやすさを追求している。
事前指示書は年1回市報に掲載するほか、3000部を配布し、一定の年齢になったら配布するのではなく、市民全員を対象に公共施設、病院等市内55カ所に設置し、活用してもらっている。
その他にも独自の取組みとして、平成27年11月からICTを活用した半田市在宅医療連携システム(だし丸くんネット)、在宅ケアを導入やインフォーマルサービス(NPO法人・ ボランティアなどが行う介護保険制度を使用しないサービス)の仕組みづくりを行っている。
考察
近年、高齢者の単身世帯が増加傾向にあるなか、医療・介護の現場において、病院の転院や退院、施設利用等の際に「保証人」がいないことで、必要な医療や介護サービスの利用に時間を要するなど市民の足かせになる事例がある。そんな現状に対応するため、作成されたガイドラインでは具体的な事例の明記や、保証人の確保が難しい人向けのチェック方式の支援シート、用語の説明も、掲載や、誰がどのように支援をしていくかを明確かつ分かりやすく示すことで、対処方法がわかりやすくなされていた。
老老介護や独居老人、認知症ケアなどの課題は東村山市でも大きな課題である。半田市の高齢者人口(65歳以上)は28,700人、高齢者率23.8%に対し、東村山市では高齢者人口40,343人、高齢化率は26.7%であり、高齢者医療・介護施策が重要であるのは明白である。今回学んだ事を活用し、当市でも終末期の過ごし方について具体的な施策が進むよう、政策提案につなげたい。
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