安倍首相の改憲メッセージは違憲、その撤回を求める意見書に関する陳情
更新日:2017年5月24日
安倍首相は、憲法施行70周年を迎えた本年5月3日の憲法記念日に、民間憲法臨調(2001年11月、日本会議設立の改憲推進団体)と「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(2014年10月、日本会議設立の改憲運動組織)主催の第19回公開フォーラム「憲法改正待ったなし!」という集会に、ビデオ・メッセージを寄せ、「新しく生まれ変わった日本がしっかり動き出す年、2020年を、新しい憲法が施行される年にしたいと強く願ってい」る、という意向を表明しました。憲法は、国の未来、理想の姿を語るものという独自の発想のもとで、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための「具体的な議論」を始めなければならない時期にきているという認識を示しました。
このメッセージには、憲法改正と新憲法の制定を混同していること、首相メッセージを自民党総裁として語っているという問題がありますが、憲法「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方が国民的な議論に値すること、高等教育についても全ての国民に真に開かれたものにしていかなければならないことを、指摘しています。そして、新憲法の施行という形で「国の未来を切り拓いていきたいと考えて」いることを述べ、「憲法改正に向けて、共に頑張りましょう」と結んでいます。
このビデオ・メッセージの内容は、日本国憲法99条の定めている「公務員の憲法尊重擁護義務」に違反するものです。同条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定しています。そもそも憲法とは国家権力を拘束するものであって、憲法によって縛られるのは国民によって権力を信託された人たちです。憲法によって権力行使を授権された公権力の行使者たる公務員は、主権者である国民に対して、憲法を守る義務があります。政治家をはじめとする公務員は、憲法を遵守してこそはじめて権力行使ができるという存在です。しかし、このメッセージには、憲法の規定と精神を忠実に守ろうとする意志はみじんも感じられません。
日本国憲法が憲法改正手続きを定めている以上、国会議員が憲法改正について調査・検討し、主張すること自体には問題がありません。しかしながら、内閣総理大臣を含む国務大臣が、現憲法に反対する立場を明確にして、憲法改正を主張し唱導することによって、憲法と憲法にもとづく法令に従って行われるべき職務の公正性に対する国民の信頼を傷つける場合には、その言動は日本国憲法第99条に違反します。憲法の尊重とは、憲法の価値や尊厳を尊重することである以上、憲法に対する軽視、侮蔑、軽蔑、不信の念の表明は、憲法を尊重することにはなりません。
内閣総理大臣には、憲法改正が実現するまでは、憲法の定めに従って公正に職務を遂行していくことが求められています。憲法があるからこそ、内閣総理大臣という職責をまっとうするることができるのです。にもかかわらず、今回のように「憲法改正待ったなし!」という改憲派集会に公然と改憲ビデオ・メッセージを寄せ、新憲法の2020年施行を実現を求めて、改憲の具体的項目の国民的議論を呼びかけることは、国務大臣・国会議員に対して憲法の尊重を求めている日本国憲法99条に明確に反する言動です。
従って、憲法尊重擁護義務のもとにある東村山市議会に対して、憲法99条に違反する安倍首相のビデオ・メッセージを撤回する意見書に関する陳情をここに提出します。
以上のことから下記の要旨について決議し、地方自治法99条により、東村山市議会の意見書として、安倍首相、衆議院議長、参議院議長に提出して下さい。
要旨
一、安倍首相の上記改憲ビデオ・メッセージは、憲法99条に違反します。 安倍首相に対してその撤回を求めます。
以上
平成29年5月9日
陳情人 東村山市諏訪町2-22-21
みんなの憲法委員会
稲 正樹
外13名
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