多摩湖町の交通不便解消策としての「ところバス」乗り入れに関する陳情
更新日:2017年9月27日
趣旨
1.「ところバス」吾妻循環コースの東村山市への乗り入れは、平成30年10月からの運行に合わせて拙速に進めるのではなく、東村山市と所沢市の両市の住民意向をもとに時間をかけて慎重に進めていただきたい。
2.「ところバス」吾妻循環コースの東村山市への乗り入れを、「唯一無二の解消策」とせず、あくまでも多摩湖町地域の交通不便解消策の1つとし、今後も他の公共交通を使った「誰もが外出しやすく不便を感じさせない」解消策を検討していただきたい。
理由
◆1番目について理由は以下の通り
1)自治体間の広域連携による公共交通の運行の前提には、関係する自治体住民の合意が必要であることは言うまでもないことだと思います。東村山市では先日、多摩湖町の住民に対し、意向調査を行いました。結果は、乗り入れした「ところバス」を利用したいという人が40%、利用したくないという人が58%でした。所沢市では関係する地域住民の意向調査は行われていませんが、ひと周り75分~85分かかる現在の吾妻循環コースがさらに時間がかかるとなる状況を快く思う人は少ないのではないでしょうか。
2)東村山市の場合、コミュニティバスを新たに運行するとなると1100万円かかりますが、今回の「ところバス」の乗り入れにかかる費用は200~300万円。一方、所沢市も財政事情が厳しく、持続可能な地域公共交通の確立のためには「収益性の確保」が必要と認識しているので、東村山市から運行のための費用が入れば収益が上がります。これらを考えると、利用する住民にメリットがあるからというより、行政側にメリットがあるから進めているように思えます。
3)所沢市地域公共交通会議は平成29年1月30日に、「所沢市における地域公共交通の方向性について」という藤本正人所沢市長からの諮問に対して答申を出しています。それによると、「便数が少ない」「目的地までの所要時間が長い(コースの長大化)」という点で利便性に課題があるとし、「片道の運行距離は15km以下、所要時間は60分以内が目安」としています。現在、「ところバス」吾妻循環コースは運行距離が19.6km、所要時間は75分~85分となっています。東村山市への乗り入れは、運行距離と所要時間をさらに長くし、答申でまとめた方向性に逆行します。
4)平成25年3月にまとめられたコミュニティバスのガイドラインには冒頭、次のように書かれています。「東村山市では、賑わい・活気のある街づくりを目指すため、市内の公共交通ネットワークを充実し、誰もが外出しやすく不便を感じさせない交通網を検討しています」。これはコミュニティバスに限らず、すべての地域公共交通についての東村山市の考え方だと思います。福祉的なものではなく、あくまでも「賑わい・活気のある街づくりを目指すため」の手段としているところが、他市とは違う、東村山市の独自の考え方だと思います。しかし行き先が所沢駅である「ところバス」吾妻循環コースで「賑わい・活気のある街づくり」が可能なのでしょうか。渡部尚市長は平成29年6月2日の石橋光明議員の一般質問に対し、こう答えています。「にぎわいという点でいうと、これは虫のいい話かもしれませんが、所沢の方が東村山のさまざまなイベント行事においでいただくという努力をする必要もあるわけで、実際、菖蒲まつりだとか、たいけんの里の入場者、正確に統計をとっているわけではないですけれども、相当数、所沢市民の方がおいでになっております。そういったこともあるので、あながち全てお客を所沢にとられてしまうことにはならないとは思っておりますし、あと、交通不便地域の解消というのは、活力あるまちづくりにとってはやはり重要なポイントであって、ターミナル駅である所沢駅に多摩湖町が出やすいということになれば、それはそれで多摩湖町地域の住宅地としての価値も上がってくるのではないかと考えているわけであります」。まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」式の内容であまりにひどいと怒る商工関係者もいます。「賑わい・活気のある街づくりを目指す」と地域公共交通についての東村山市の考え方が明確になっている以上、整合性のある検討が必要ではないでしょうか。
◆2番目についての理由は次の通り
1)行きたい場所が歩いて5分ほどのところにある人は交通不便を感じません。行きたい場所に行く手段がないから、交通不便を感じるのです。多摩湖町地域の意向調査では、「東村山駅や市役所に行きたい」「病院に行きたい」という声があったと聞きます。仮に「ところバス」が乗り入れたとしても、行きたい場所につながってないと思う人には「交通不便」感は続きます。すべての住民の不便感を解消するのは不可能なことですが、1日に4往復しか運行しない「ところバス」で、果たして過半数以上の住民の「交通不便」感を解消することはできるでしょうか。
2)オンデマンド交通など検討すべき交通手段はまだあります。多くの自治体が導入しているので、参考になる例も必ずあると思います。ガイドラインを整備しつつ検討していただきたいです。
3)コミュニティバスの路線決定に際しては、「既存路線との競合を避ける」ことがネックとなることが多いのですが、「路線がダブる=既存路線の乗客が減る」とはならないのではないでしょうか。コンビニがいい例なのですが、すぐ近くに同じチェーン店がオープンすることがあります。もちろん競合しますが、結果的に相乗効果で両店とも売り上げを伸ばすとのことです。バスの路線も、久米川駅北口から出ている清瀬駅行きと新秋津駅行きは「全生園前」まで同じルートです。でもそのおかげで久米川駅北口から「全生園前」までは本数が多くなり、ICカードが使える手軽さもあってちょい乗りで使う人が多いです。現在、東村山駅西口から出ている立川駅行きは平日の多い時間で1時間4本です。少ない時間帯は1時間に2本。持ち時間を長いと感じる人はいるでしょう。コミュニティバスが同じルートを通れば、トータルで本数が増え、「もうすぐ来るならバスで行こうか」となる人も出てくると思います。「既存路線との競合」をタブー視せずにもう一度、路線の検討をしていただきたいと思います。
平成29年9月19日
陳情人 東村山市栄町1-24-1
東村山市の地域公共交通を考える会
世話人 薄井 政美
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