行財政改革調査特別委員会・調査報告書(平成20年12月19日)
更新日:2012年12月13日
はじめに
行財政改革調査特別委員会は市内15校の「小学校給食調理業務」のあり方について行財政改革の視点から、直営方式で運営されている7校、民間委託されている8校の小学校給食調理業務のあり方について調査研究することを目的に平成19年9月定例会において設置された特別委員会である。
その後、本年12月12日までに合計10回の委員会が開催された。委員会では現状の給食調理業務に関して、児童数、給食日数、直営・民間委託の形態や、直営については調理員の正規職員数と給与、並びに三期休業時の職員の職務実態について、民間委託されている学校については民間委託した学校名や委託した年次、委託契約金額などを含め幅広く資料請求を行い、所管(教育委員会学務課)の説明を受けてきた。また、各委員の考え方についても委員同士が活発に議論できた委員会であったが、委員会として統一した方向性について結論を見ることが出来なかった。10回開催された委員会の議論からその要旨を報告することで委員長報告としたい。
調査・報告
1.委員会設置の背景
東村山市が推進している行財政改革に関して、小学校給食調理業務については、直営方式で運営されている7校について、7エリア構想との整合性や、行革の効果など議会としても特別委員会を設置し調査することを目的に設置された。
2.調査報告項目
(1)市内15校の児童数、給食日数、直営・民間委託先別学校名並びに委託年次について
(2)直営校における正規職員調理員数と臨時職員の構成を含めた年間運営経費について
(3)民間委託校における学校別委託料金の決定方法と学校毎の比較について
(4)直営校正規職員の三期休業中の社会資源としてのあり方について(7エリア構想との整合性)
(5)直営・民間委託の両面から見た、給食を通しての食育と児童への影響について
(6)行政が目指す小学校給食調理業務の方向性について
(7)民間委託と職業安定法並びに労働者派遣法との関係について
(8)他の区市町村の民間委託契約の経年変化と現状について
3.調査結果
上記の調査項目以外にも今後の栄養士の配置問題や、調理現場における指示書と栄養士の業務関係などについても議論されたが、残り7校の民間委託に関しては、各会派(各委員)が一貫してその立場を主張し結論を見ることが出来なかった。以下各会派の主な主張を要約する。
まずは民間委託を推進すべきとして、2人が委員になっている会派を代表して1人の委員から、委員会を通して所管から多くの資料が提供され、直営の場合の職員給与と、民間委託料について明白な違いが見えた。また、労働者派遣法に抵触するのではないかとか、施設を民間に貸し付けることは法に違反するのではないかという問題も特段問題ないことが明らかになった。
今後は財政の健全化を図る意味でも民間委託をしていただきたい。そして民間委託する事によって削減された経費を学校教育費として使っていただきたいという意見が出された。
また別に2人が委員になっている会派を代表して一人の委員からは、民間委託されていない残り7校を、全校民間委託するのか、直営のままで行くのかいくつかポイントがあった。1点目は本年3月開催の委員会で、市長から今後の現業職の採用については履行しないことを組合側に意思表示をしたこと。2点目として、民間委託しても給食の質の低下、安全面、衛生面について特段事故も発生していないことが明らかになったこと。3点目として、久米川小学校の例を見ても、児童数が11%増えたのに対して委託料は6%下がっておりコストが下がっている。4点目として、労働者派遣法に抵触するか否かという議論も、国の東京労働局に確認をして、当市の委託業務についてはなんら問題がないことが確認されたこと。
よって、今後行革を進める中で東村山市がしっかりと財政運営をして、市民福祉の向上と教育向上を進めるためにも民間委託を推進すべきであるという意見が出された。
続いて民間委託に反対であるという立場で2人が委員になっている会派を代表し1人の委員から、学校給食は教育の一環であり、教育基本法の立場からすれば民間委託は認められない。小学校給食は、調理、設備、機材などすべて東村山市の行政財産であり、事業者が提供するのは単なる労働力であるから、職業安定法施行規則第4条第4号は満たしていない。現状の民間委託は職業安定法施行規則4条に抵触しているのですべて直営に戻すべきである。また、全校委託になれば委託料は必ず上がり、経費の大幅な削減にはならない。さらに、民間委託は調理員の賃金が低くワーキングプアを作り出している。
また、緊急事態に際しての公務労働の問題も含め、民間委託に反対し、現時点での8校も基本的には直営に戻すことが筋である。
続いて別の会派の1人の委員から小学校給食調理業務のあり方に対して、行財政改革の優先課題であることに違和感を覚え、子どもに対する食の安全確保という主眼に立って、議論・検討を進めてきた。
給食のキーパーソンは栄養士である。全校に配置されている栄養士が安全と危機管理、食材を決めるなど、学校全体の食育を推進する役割が求められている。今後も栄養士の全校配置方針を曲げないこと。また、消費者、市民による自主的な参加による給食運営委員会の充実や設置が必要である。
コスト論による民託化の推進をめぐっては、直営7校のエリア構想が不十分であったことがなんとも残念であるが、使い切ろうとしなかった行政のビジョンのなさを痛感する。しかしながら民間委託化が本当にコスト削減に繋がっていくのかは疑問である。
最後に別の会派の1人の委員からは、三期休業中の調理職員は社会資源としての役割を模索すべきではないか。組合側も当局も検討するといいながら具体的方向付けが出てこなかった。三期休業中の抜本的方向付けを改めるという点について努力が見られず強く批判しておきたい。
指摘として、三期休業中を含めて調理日数が少ないのであれば、年単位の変形労働時間制のシステムを利用してはどうか。また、民間委託とのコスト論に関しては、職員の削減だけでなく、職員給与の根本的な問題が残っている。これにメスを入れることなくして民間委託を議論してもしょうがない。民間委託論と賃金論との関係で民間委託は取るべきでない。などの意見が表明された。
最後に
以上のように各会派を代表した委員が10回にわたる委員会での議論を通して、今後の小学校給食調理業務に関して意見を表明した。
残念ながら委員会としての集約は出来なかったが、行政においてはこれらの意見も踏まえて、今後、小学校給食調理業務のあり方を積極的に検討されることを強く望むものである。
平成20年12月19日
行財政改革調査特別委員会
委員長 鈴木 忠文
副委員長 山川 昌子
委 員 矢野 穂積
委 員 島崎よう子
委 員 大塚恵美子
委 員 北久保眞道
委 員 石橋 光明
委 員 保延 務
委 員 田中 富造
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